前田大然、ポステコグルーが認めた「世界で通用するための三拍子」とは?

セルティックの日本代表FW前田大然
【引用:セルティック公式Twitter & Off The Ball編集部】

日本代表FW前田大然がセルティックのストライカーとして輝きを放っている。横浜F・マリノス時代に指導していたアンジェ・ポステコグルー監督が、愛弟子である前田大然にラブコールを送る形で再タッグを組むことになったが、当時J1優勝を達成して逸材揃いだった横浜FMの選手の中で唯一、前田大然を指名したのはなぜなのだろうか?今季から東京ヴェルディのヘッドコーチに就任し、昨季まで横浜FMのスポーツディレクターを務めていた小倉勉氏は、前田大然が備える“世界に通用するための三拍子”について解説している。

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前田大然に備わっていた「世界で戦う上で重要な要素」

毎年のようにJリーグで活躍する日本人選手が海外に挑戦している中、出場機会を勝ち取って主力に定着している選手もいれば、なかなか適応できずに短期間で日本に出戻りする選手もいる。前田大然も2019年にポルトガル1部CSマリティモへ期限付き移籍し、翌年に日本へ帰還している。現在はセルティックで目覚ましい活躍を披露しているが、海外で活躍する上で重要な“3つの要素”に言及している。

小倉 勉

スピードがあって、スタミナがあって、負傷離脱が少ない。この3つは、世界で戦う上で非常に重要な要素。それがあらかじめ備わっている選手は世界でも価値が高い。戦術や技術の部分は、若ければ時間をかけて習得できる。スピード・スタミナ・負傷の少なさという三拍子は、大然が横浜FM時代から揃っていたもの。ポルトガルへの武者修行も経験値としてプラスになっていたのだろう。

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前田大然の強みとなる他のスピードスターとの“差”

前田大然は日本屈指のスピードを誇っているが、同じ横浜FMでは、元日本代表FW仲川輝人もスピードスターとして大車輪の活躍を示し、2019年のJ1得点王と年間最優秀選手に輝いた一方、度重なる負傷離脱に悩んでいる。スピードを武器にした選手にとっては宿命とも言える負傷離脱ではあるものの、前田大然にとってはその点も他の選手との差別化となっているようだ。

小倉 勉

仲川輝人もJリーグトップクラスのスピードがある。一方で、スタミナ・負傷面に関しては、少なからず懸念点がある。大然は横浜FMに1年半ほど在籍した中で、負傷は1,2度だけ。あれだけ圧倒的なスピードがあり、前線からプレスで走り回る選手は、キャリアでどうしても負傷が付きまといがち。ただ、大然にはそれがない。これは確かな強みと言える。

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世界で通用する“三拍子”を兼ね備えた頂点がサラー

海外には、陸上短距離選手に勝るとも劣らないスピードを誇る選手が溢れている。一方、日本と同じく、そのようなタイプの選手は負傷に苦しむケースが多い。また、スプリントの繰り返しを求められることから、攻守にわたって90分間を走り切ることのできる選手もそう多くはない。だからこそ、その三拍子が揃っている選手は自然と希少価値が高くなる。

小倉 勉

スピードに長けた選手に関しては、世界にもたくさんいる。ただ、スピードがあって、スタミナがあって、負傷しないとなると、世界でもかなり限られてくる。それこそ、リバプールのサラーが代表例になるだろう。彼も、世界最高レベルのスピードがあり、90分間走り続けるハードワークを怠らず、負傷離脱も非常に少ない。実際サラーは別格だとして、そのような要素を備えた選手は重宝される。大然はメンタリティーもしっかりしているからね。

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前田大然のフィジカルの強さは「先天的な資質」

前田大然はJリーグ時代も、足元の技術や巧妙な駆け引きを得意とする選手ではなかったが、日本で得点王という結果も残しており、セルティックでも得点源として活躍中。前田大然の“先天的なフィジカル”が世界レベルであることを物語っている。

小倉 勉

技術は後からなんとでもなる。実際、大然もテクニカルな選手ではない。負傷しないためのケアであったり、フィジカルを強化するためのトレーニングももちろん大事だが、それでも負傷してしまう時はしてしまう。大然は、危険なタックルや接触があっても、基本的にピンピンしている。おそらく、持って生まれた先天的な資質なのではないだろうか。

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海外挑戦する日本人選手が苦しむ“負傷離脱”の壁

日本人選手にとって、海外挑戦の試練と言えるのが負傷だろう。プレーとしては通用するものの、負傷離脱を繰り返すことで構想外となってしまうケースが少なくない。前田大然もフィジカルコンタクトの激しいスコットランドリーグで、激しい荒削りにより足を痛めることはあるものの、長期離脱することは滅多にない。

小倉 勉

世界で戦う上で、負傷というのは日本人の最大の壁とも言える。欧州に渡って、長期離脱に苦しむ日本人選手は多い。同じセルティックでいえば、古橋もその部分に苦労している。大然はいつでも元気。メッシのように、タックルが来そうだと予感して負傷を回避する転び方で予防する、みたいな器用なことをできるタイプでもないしね(笑)アンジェも、横浜FMで指導していた時期から、大然を見て「世界で戦えるフィジカルが備わっている」と感じていたからね。

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前田大然が備える「世界で通用するための三拍子」のまとめ

前田大然は横浜FM時代、ポステコグルー監督の元で得点王に輝き、日本屈指のストライカーとして頭角を現した。セルティックに就任した恩師からのラブコールに応える形でスコットランドへと渡ると、即座に得点源としての活躍を披露している。横浜FMで両者と共闘していた小倉勉氏は、前田大然に備わる“スピード・スタミナ・負傷の少なさ”の三拍子は、ポステコグルー監督も当初から世界で通用すると太鼓判を押していたと振り返っている。今後も、前田大然とポステコグルー監督の師弟関係から目が離せない。

※当記事のインタビューは2022年6月4日に実施したものです。

当記事のインタビュイー

小倉勉のプロフィール

U-17日本代表 ヘッドコーチ… AFC U-17選手権優勝

日本代表 コーチ… 南アフリカW杯ベスト16

U-23日本代表 ヘッドコーチ…ロンドン五輪ベスト4

大宮アルディージャ 監督…J1残留

ヴァンフォーレ甲府 ヘッドコーチ…J2優勝

横浜F・マリノス SD…2017年〜2022年

東京ヴェルディ ヘッドコーチ…2022年〜現在

詳しいプロフィールはこちら

セルティックの日本代表FW前田大然

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この記事を書いた人

「Off The Ball」編集長。
大手サッカー専門メディアに過去6年配属。
在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。
「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。
人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。
趣味はサウナ。

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