【徹底調査】タイトル1つあたり何億円?“コスパが良いクラブ”TOP5を発表

コスパの良いクラブトップ5
【引用:レアル・バイエルン・PSG公式Twitter & Off The Ball編集部】

近年のヨーロッパにおける移籍市場では、非常に大きな額の移籍金を伴う移籍が珍しくなくなった。キャリアのピークを迎えている選手に支払う金額が大きくなることは当たり前だが、最近では将来有望な若手選手を獲得するのにさえ、大金を必要とすることが当たり前の時代である。ちなみにこれまでの歴史の中で、移籍金が史上最高額となったのは、20117-18シーズンにバルセロナからパリ・サンジェルマンFC(以下PSG)へ移籍したブラジル代表FWネイマールで、その移籍金は2億2,200万ユーロ(当時のレートで約290億円)であった。2番目は、2018-19シーズンにモナコからこれまたPSGへ移籍したフランス代表FWキリアン・エンバペで、1億8,000万ユーロ(当時のレートで約232億円)である。これだけでもPSGが近年の移籍市場を賑わせているかがわかる。

ここで1つ気になることが出てきた。その大きな移籍金は、タイトルという結果にしっかり結びついているのか?ということである。結果至上主義の見方をすると、結果が伴っていない大金は、無駄遣いと言わざるを得ない。またその逆で、結果が伴った大金であれば、払う価値のあったものであると言える。

そこで、この記事では過去5シーズンに支払った総額の移籍金とタイトル獲得数を調査し、タイトル1つあたりのコスパの良かったクラブはどのクラブなのかを発表していく。

text by Tate Masa

目次

過去5シーズンにおけるタイトルの“コスパ”を調査

今回は、移籍金のコスパが良かったクラブTOP5を調査し発表する。調査するのは、ヨーロッパの5大リーグ(イングランド・スペイン・ドイツ・フランス・イタリア)に所属するクラブ。2017-18から2021-22シーズンの5年間においてのデータを用いる。5シーズン間に支払った移籍金の総額(ローン移籍にて支払った金額含む)を同期間で獲得したタイトル数で割ることで、1つのタイトルあたりにかけた移籍金を算出し、1位から5位までを決め、発表する。なお、今回は獲得したタイトルの個数に焦点を当てる企画なので、タイトルとしてのカウントに大会の大小は考えないものとする(UEFAチャンピオンズリーグでも、国内カップ戦でも、同じ1カウント)。

さて、どのクラブが過去5年間で最も移籍金コスパが良かったのであろうか。読者の皆さんがパッと思い浮かんだクラブは出てくるのであろうか。

・移籍金総額:〇〇ユーロ

・タイトル獲得数:〇〇回

■(獲得タイトル名)

→タイトル1つあたりの移籍金費用:〇〇ユーロ

※調査に使用したサイト:https://www.transfermarkt.jp

第5位:レアル・マドリード(スペイン)

【引用:レアル・マドリード公式Twitter】

・移籍金総額:5億9,175万ユーロ(約845億2000万円)

・タイトル獲得数:10回

■ラ・リーガ:19-20,21-22

■スーパーカップ(スーペルコパ):17-18,19-20,21-22

■UEFAチャンピオンズリーグ:17-18,21-22

■UEFAスーパーカップ:17-18

■FIFAクラブワールドカップ:17-18,18-19

→タイトル1つあたりの移籍金費用:5,917万5,000ユーロ(約84億5200万円)

第5位となったのは、スペインの白い巨塔、レアル・マドリードだった。レアル・マドリードといえば、2000年代前半に世界中から全盛期を迎えた名だたるビッグスターを獲得し、銀河系軍団と言われていた。だが、ここ数年は堅実な経営が増えている印象だ。調査した5年間で最も高額だった移籍は19-20シーズンにチェルシーFCからベルギー代表FWエデン・アザールを獲得した際の1億1,500万ユーロであったが、それ以外に1億ユーロ以上を費やした移籍は無かった。現在チームの顔となりつつあるブラジル代表FWヴィニシウスJr.も、18-19シーズンにフラメンゴから4,500万ユーロで獲得し、出場機会を与えて成長を促した結果、現在の市場価値は1億2,000万ユーロ(2022年9月23日時点)にまで上がっている。かつての、資金に物を言わせスター選手を買い漁る経営は今では見られない。現在は若手の将来有望な選手をスカウトし、レアル・マドリードにふさわしいと判断した選手を市場価値が莫大になる前にチームに迎え入れ、チーム内で成長させる手法を取っており、その経営は成功していると言える。

獲得タイトルを見ると、スペイン国内ではライバルであるFCバルセロナや、アトレティコ・デ・マドリードと優勝を分け合っている。その2チームとの違いは、国際大会の大舞台で結果を出しているという点である。CLでは5年間の内、2度頂点に輝いている。特に昨年の21-22シーズンのCLでの勝ち上がり方は、これがレアル・マドリードだと言わんばかりの勝負強さを随所に見せた。

一昔前の金満クラブというイメージはもう過去のものとなったレアル・マドリードが移籍金コスパ第5位となった。

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第4位:PSG(フランス)

【引用:パリ・サンジェルマンFC公式Twitter】

・移籍金総額:7億4,650万ユーロ(約1066億3000万円)

・タイトル獲得数:13回

■リーグ・アン:17-18,18-19,19-20,21-22

■カップ戦(クープ・ドゥ・フランス):17-18,19-20,20-21

■リーグカップ(クープ・ドゥ・ラ・リーグ):17-18,19-20

■スーパーカップ(トロフェ・デ・シャンピオン):17-18,18-19,19-20,20-21

→タイトル1つあたりの移籍金費用:5,742万3,000ユーロ(約82億円)

第4位となったのは、フランスのメガクラブ、PSGだった。2011年に現経営体制となると、その資金を元に選手を次々と獲得し、冒頭でも触れたようにネイマールやエンバペを破格の移籍金で獲得した。また、21-22シーズンには、フリー移籍での獲得であったが、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシや、スペイン代表DFセルヒオ・ラモスといったビッグネームの獲得にも成功し、現在世界で最も多くのスター選手が在籍し、資金的にも裕福なチームとなっている。その影響もあり、国内では無敵の強さを誇っている。リーグ・アンでは5年間の内、LOSCリールに優勝を奪われた20-21シーズンを除いてリーグ優勝しており、カップ戦でも3度優勝している。だが、経営陣は国内でのタイトル獲得は当たり前だと考えており、CLでの優勝こそが、PSGが獲得すべきタイトルだとしている。

PSGは、いずれCLのトロフィーを掲げる日がくるであろうが、それはいつになるのであろうか。そのためにはその無限の資金をいくらでも費やすのであろう。次はどのスター選手がパリの地へ向かうのかも気になるところである。

国際大会ではまだ日の目を見ていないが、国内では無敵の強さを誇るPSGが移籍金コスパ第4位となった。

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第3位:FCナント(フランス)

【引用:FCナント公式Twitter】

・移籍金総額:5,690万ユーロ()

・タイトル獲得数:1回

■カップ戦(クープ・ドゥ・フランス):21-22

→タイトル1つあたりの移籍金費用:5,690万ユーロ(約81億2000万円)

第3位となったのは、21-22シーズンの国内カップ戦、クープ・ドゥ・フランスの決勝でOGCニースを破り、優勝を果たしたフランスのナントだった。

5年間での移籍金総額は5,670万ユーロで、PSGの約13分の1である。所属選手には元マンチェスター・ユナイテッド所属で、右SBが主戦場のブラジル人DFファビオがいる。今回の調査期間外の22-23シーズンでの移籍では、イングランドのワトフォードFCから、元フランス代表MFムサ・シソコを獲得している。

チャンスをものにし、21-22シーズンにカップ戦を制覇したナントが、移籍金総額自体が低かったことから、移籍金コスパにおいて、なんと第3位となった。

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第2位:RCストラスブール(フランス)

【引用:RCストラスブール公式Twitter】

・移籍金総額:4,865万ユーロ(約69億5000万円)

・タイトル獲得数:1回

■リーグカップ(クープ・ドゥ・ラ・リーグ):18-19

→タイトル1つあたりの移籍金費用:4,865万ユーロ(約69億5000万円)

第2位となったのは、18-19シーズンに国内リーグカップのクープ・ドゥ・ラ・リーグで優勝し、1つのタイトルを獲得したフランスのストラスブールだった。決勝ではEAギャンガンとの対決となり、延長戦終了までお互いスコアレスのままPK戦となった。そのPK戦を制してトロフィーを掲げたのがストラスブールとなった。

5年間の移籍金総額は4,865万ユーロで、今回第3位となったナントより低く、PSGの約15分の1である。

所属選手には、過去にPSGやアトレティコで活躍した元フランス代表FWケビン・ガメイロがいる。また、日本代表GK川島永嗣も現在所属していることから、このクラブの名を聞いたことがある人も多いだろう。

今回調査した中で、1つでもタイトルを獲得しており、その中でも最も移籍金総額が低かったことによりランクインした。伏兵ストラスブールが第2位だった。

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第1位:FCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)

【引用:FCバイエルン・ミュンヘン公式Twitter】

・移籍金総額:4億75万ユーロ(約572億4000万円)

・タイトル獲得数:14回

■ブンデスリーガ:17-18,18-19,19-20,20-21,21-22

■カップ戦(DFBポカール):18-19,19-20

■スーパーカップ(DFLスーパーカップ):17-18,18-19,20-21,21-22

■UEFAチャンピオンズリーグ:19-20

■UEFAスーパーカップ:20-21

■FIFAクラブワールドカップ:20-21

→タイトル1つあたりの移籍金費用:2,862万5,000ユーロ(約41億円)

映えある第1位となったのは、ドイツでは敵なしの強さを見せる、バイエルン・ミュンヘンだった。国内では圧倒的な力の差を見せ、5年連続でブンデスリーガを制覇。カップ戦やスーパーカップでも半分以上の優勝はバイエルンである。国内のみならず、国際大会でも結果を出しており、CLは19-20シーズンにPSGとの決勝戦で勝利し優勝。翌年のスーパーカップやクラブワールドカップでも優勝を果たしている。5年間で積み上げたタイトル数は14回と、13回のPSG、11回のマンチェスター・シティFCを退け、今回の調査において最も多い獲得数であった。

経営も健全であり、莫大な移籍金をかけて選手を獲得するということも無い。19-20シーズンにアトレティコからフランス代表DFリュカ・エルナンデスを獲得した際の8,000万ユーロが5年間で最も大きな移籍金である。移籍金総額は、4億75万ユーロで全体の23位であり、他のビッグクラブと比較すると非常に少ない。ちなみに22位だったのは4億670万ユーロでイングランドのウエストハム・ユナイテッドFCである。国内のライバルであるボルシア・ドルトムントは4億5,659万ユーロで18位であった。これを見ると、いかにバイエルンの経営が健全で上手かがわかるだろう。

ブンデスリーガを連覇し続けており、国内では最強と言えるバイエルンは国内のみに止まらず、しっかりCLなどの国際大会でも結果を出している。多くの移籍金を費やすこともなく、多くのタイトルを獲得しているバイエルンが今回の調査において、他のクラブに大きな差をつけての移籍金コスパ第1位となった。

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タイトル1つあたりの“コスパが良いクラブ”TOP5のまとめ

今回のタイトル1つあたりのコスパが良いクラブTOP5の結果は以下の通りとなった。

1位:バイエルン・ミュンヘン

2位:ストラスブール

3位:ナント

4位:パリ・サンジェルマン

5位:レアル・マドリード

第2、3位にストラスブールやナントがランクインしてくるのは予想外であったが、バイエルンの第1位は皆さん予想は出来たのではないかと思う。国内での強さや、国際大会でも結果が伴っていること、また、莫大な移籍金を費やすことのない健全経営から、バイエルンは納得の第1位であると言えよう。

PSGは多くの移籍金を費やしてはいるが、国内のリーグ戦、カップ戦で圧倒的な強さを誇り、ほとんどの国内タイトルを取っているためランクインが出来ている。

レアル・マドリードは国内タイトルにはライバルが多いが、国際大会での異常なまでの強さと、ここ数年の経営の成功から、第5位に輝いている。

筆者が他にランクイン予想していたのは、18-19シーズンにCLを制し、19-20にはプレミアリーグで優勝したイングランドのリバプールFCや、21-22のUEFAヨーロッパリーグでトロフィーを掲げ、日本代表MF鎌田大地や元同代表MF長谷部誠も所属するドイツのアイントラハト・フランクフルトであった。この2クラブのタイトル1つ当たりの移籍金費用は、リバプールは8,955万ユーロで第10位、フランクフルトは7,569万5,000ユーロで第6位と今回はランク外となった。

今回はコスパの良かったクラブTOP5を取り上げたが、この調査により、逆にコスパが非常に悪いクラブも発見することが出来た。次回はコスパの悪いクラブTOP5のコラムを掲載することとする。

コスパの良いクラブトップ5

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この記事を書いたライター

ユルゲン・クロップ監督率いる当時のドルトムントがきっかけでサッカー好きに。
試合をシステムの観点から分析するのを得意としている。
好きなサッカー選手は、チアゴ・アルカンタラ。
趣味はゴルフ・釣り・サウナ・野球観戦と多彩。

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