インテルの攻撃的3バックシステムの特色は?城福浩が解説「不可欠な選手がいる」

【引用:インテル公式Twitter & Off The Ball編集部】

近年、財政難に苦しむインテルだが、シモーネ・インザーギ監督が就任して以降、限られた戦力で印象的なパフォーマンスを示している。これまで数々のJクラブを指揮し、現在は東京ヴェルディの監督に就任している城福浩氏は、シモーネ・インザーギ体制で見せている3-5-2システムについて見解を述べている。

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インテルの試金石となったリバプール戦

今季新たな船出を切ったインテルにとって、大きな試金石となったのがUEFAチャンピオンズリーグのリバプール戦だった。下馬評ではリバプールの完勝を予想する声が多かった中、ホームでの第1戦は0-2で敗れたものの、試合内容ではリバプールと互角、あるいはそれ以上の戦いを見せた。さらに、要塞アンフィールドで行われたアウェイの第2戦では1-0で勝利し、リバプールに今季CL初黒星とホーム初黒星を与えた。ラウンド16敗退とはなったものの、世界屈指と評されるリバプールを相手に、大健闘を見せた。

城福 浩

あの2試合を振り返ると、リバプールの切り替えの早さ、縦への推進力に対して受ける場面だけではなく押し返す場面もあり良く善戦した。1対1の粘り、ボックス周辺での相手選手の利き足に対して全員でケアできていたところを含め、インテルが今できるものは全て出し切ったと思う。シモーネ・インザーギにとって(2試合目の)得点直後にアレクシス・サンチェスが退場したことは想定外だったろうが、それでも激情せずチーム崩壊を食い止めてみせた。インテルも新たなチーム作りにおいて試行錯誤してきたと思うが、リバプール相手の戦いを経て、自分たちのやってきたことは間違っていないと強く感じ取ることができたはず。

インテルの武器となったペリシッチのWB起用

インテルは攻撃的な3バックシステムを採用している。右ウイングバック(WB)では、今季開幕前に獲得した攻撃的サイドバック(SB)のオランダ代表DFデンゼル・ダンフリースが主力の座を掴んでおり、ハキミの穴を完全に埋めている。また左WBでは、主戦場がウイングのクロアチア代表MFイヴァン・ペリシッチが務めており、両WBが高い位置を取って果敢な攻撃参加を見せている。攻撃的3バックシステムが功を奏し、昨季リーグ得点王のルカクがチームを去ったにも関わらず、インテルは今季リーグ最多得点を記録した。

城福 浩

インテルもリバプールもサイドの攻防を強く意識していたが、特にインテルから見た左サイドのペリシッチはアグレッシブなポジショニングを取っていたが、サラーを気にかけて下がるべき局面ではWBとして最終ラインまでポジション取りをし、サラーを自由にプレーさせない様にしていた。また、ウィングバックに攻撃的なペリシッチがいることで、アーノルドも警戒して攻撃参加を自重していた。ペリシッチの左WB起用が、シモーネ・インザーギが作り上げるインテルの色を出している印象だ。

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インテルの3バックシステムは「メリハリのレベルが高い」

Jクラブでも3バックシステムを多用してきた城福浩氏は、インテルの布陣・戦術に関して、攻守におけるメリハリがトップレベルにあると指摘している。

城福 浩

インテルはハーフウェーラインを越えて前がかりになれそうな時はマン・ツー・マンで掴みにかかり、自陣では5-3-2でブロックを敷いてゴール前を固める。このメリハリのレベルが極めて高い。ボールを奪ったらそのまま入れ替わって攻撃に移ることがチームの武器になっている。幅もうまく取れているので、ショートカウンターのバリエーションも豊富。ただ、奪い切れなかったら、もちろんそのままそのポジションが穴になってしまう。ブロックを敷いた場合だと、奪い切っても前に人数をかけられず二次攻撃を受けてしまうこともある。それらの懸念点を踏まえた上で、絶対に今のインテルに欠かせない唯一無二の選手がいる。

インテルに不可欠な存在は「ブロゾビッチ」

インテルの抱えるリスクを一身に背負う存在、現在のチームを支える大黒柱として、クロアチア代表MFマルセロ・ブロゾビッチの名を挙げた。

城福 浩

アンカーのブロゾビッチは不可欠な存在。セカンドボールの回収能力、危機察知能力が極めて高い。状況判断が素晴らしく、運動量もあって球際も強い。また、攻撃時のビルドアップ時のポジショニングも良い。足を止めずに後方から、横からのパスコースを常に作り続けている。攻守の切り替えの圧力がかかった状態でも、簡単にバックパスに逃げない技術の高さもある。おそらく現時点では、世界で5本指には入るアンカーなんじゃないかな。

インテルの攻撃的3バックシステムのまとめ

【引用:インテル公式Twitter】

主力が続々と移籍する逆境の中で迎えた今季のインテルは、シモーネ・インザーギ監督の元、ウイングのペリシッチをWBに配置する攻撃的な3-5-2システムでリーグ戦の優勝争いを演じ、コッパ・イタリアでは優勝。CLでもリバプールを相手にも互角の戦いを披露した。その中で、アンカーを務めるブロゾビッチが、守備のリスクをカバーする役割を担いつつ、攻撃面でも貢献を見せる不可欠な存在として城福浩氏は称賛の言葉を送っていた。

当記事のインタビュイー

城福浩のプロフィール

U-17日本代表 監督…AFC U-17選手権優勝

FC東京 監督…ナビスコ杯優勝

ヴァンフォーレ甲府 監督…J2優勝

サンフレッチェ広島 監督…J1リーグ2位

東京ヴェルディ 監督…2022年〜現在

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この記事を書いたライター

「Off The Ball」編集長。
大手サッカー専門メディアに過去6年配属。
在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。
「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。
人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。
趣味はサウナ。

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