ビッグクラブ行きも?“次なるブレイク候補”を小倉勉が推奨「移籍市場の注目株に」

2022年夏は、例年にも増して移籍市場が活性化している。マンチェスター・シティに加入したノルウェー代表FWアーリング・ハーランド、バイエルン・ミュンヘンに加入したセネガル代表FWサディオ・マネを筆頭に、数多くのビッグネームの大型移籍が成立している。そんな中、ロンドン五輪のヘッドコーチを務め、今季から東京ヴェルディのヘッドコーチに就任している小倉勉氏は、近い将来にビッグクラブへと移籍するポテンシャルを秘めた選手を挙げている。

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「近い将来、トッププレーヤーになる」と直感した2人のエース

今夏の移籍市場で断トツの最高額を叩き出しているのは、約141億円でベンフィカからリバプールに移籍したウルグアイ代表FWダルウィン・ヌニェスだ。昨冬の移籍市場では、コロンビア代表FWルイス・ディアスも約78億円でポルトからリバプールに移籍しており、近年ポルトガルリーグで圧倒的に抜きん出ていた2人が、アンフィールドで顔を合わせることになった。小倉勉氏も、移籍前からルイス・ディアスとダルウィン・ヌニェスの両雄をチェックしていたという。

小倉 勉

自分はWOWOWでCLの解説をやらせてもらっていて、準備のためにCL出場チームをリサーチするわけだけれど、「近い将来、トッププレーヤーになるな」と強烈な印象を受けた選手が2人いて、それが当時ポルトに在籍していたルイス・ディアスと、ベンフィカのダルウィン・ヌニェスだった。まさかその2人がリバプールで同じチームメートになるとは予想していなかったが、ルイス・ディアスは半年前に加入して、即戦力として大活躍。ヌニェスもインパクトを残すのに、そう時間はかからないだろう。ヌニェスはまさに“ネクスト・カバーニ”という表現がぴったりで、似通ったプレースタイルも母国の先輩に多大な影響を受けていることが窺える。

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ポテンシャルを秘めるフランクフルトの俊足ボランチ

また、フランクフルトはUEFAヨーロッパリーグ優勝を達成し、印象的な活躍を示していた日本代表MF鎌田大地にも移籍の可能性が取り沙汰されているが、小倉勉氏はボランチでプレーするスイス代表MFジブリル・ソウのポテンシャルに注目していると語った。

小倉 勉

フランクフルトに所属するボランチのジブリル・ソウは面白いと感じている。まだ荒削りなところも目立つが、パスのデリバリーがうまく、運んでゴール前でシュートも打てる。爆発的なスピードも武器としており、3列目からの攻撃参加も非常に効果的だ。スイス代表でも、まだ途中から投入されるような存在ではあるが、今年で25歳とまだ若く、今後もうひと伸びしてくれば、ビッグクラブから関心を集めるような選手になってくると思う。

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ジブリル・ソウは「モドリッチよりはクロース寄り」

ジブリル・ソウは2019年夏にスイスの名門ヤング・ボーイズから加入したが、1シーズン目は本領を発揮することができずに伸び悩んでいたが、ダブルボランチで元日本代表MF長谷部誠とパートナーを組むようになると、パフォーマンスが飛躍的に向上。今ではフランクフルトにとって欠かせない戦力となっている。

小倉 勉

レアルで例えるとするなら、モドリッチよりはクロース寄りのプレースタイル。長短のパスを使い分けてリズムを作り、出しどころのセンスもある。一方で、背丈はあってもポグバのようなフィジカルはなく、ヘンダーソンほど守備の強度があるわけではないから、すぐにプレミアリーグのビッグクラブで活躍するというのは難しいかもしれない。現段階で言うと、アヤックスからバイエルン・ミュンヘンに移籍したライアン・フラーフェンベルフの方がレベルは上だろうね。それでも、来季以降にウィークポイントを改善することができれば、今後の移籍市場で注目株になるだろう。

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プレミア参戦のパリーニャは「どこのクラブも欲しがる選手」

さらに、ポルトガルの名門スポルティングでプレーするポルトガル代表MFジョアン・パリーニャも印象に残っているという。今夏の移籍市場で日本代表MF守田英正がCDサンタ・クララからスポルティングCPに加入を果たしたが、これまでスポルティングの守備的MFとして主力を務めていたパリーニャも今後に期待できる逸材と評価している。

小倉 勉

スポルティングのジョアン・パリーニャもブレイクする可能性のある選手だね。守備的MFで、ボランチながら身長が190cmもある。スポルティングが守田英正の獲得に本腰を入れているという報道があるが、これはパリーニャが引き抜かれることを想定した動きなのではないかと思う。大柄でボール奪取能力も非常に高いハードワーカーで、同じタイプの選手で言えば、ロドリのようなタスクをこなすことができる。どこのクラブも欲しがる選手なのではないかな。

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※パリーニャは2022年7月4日、プレミアリーグに昇格したフラムに完全移籍。

ビッグクラブ行きの可能性を秘めた“次なるブレイク候補”のまとめ

【引用:ダルウィン・ヌニェス公式Twitter】

小倉勉氏が以前からビッグクラブへの移籍を予測していたダルウィン・ヌニェスは、クラブレコードとなる移籍金でリバプールに加入。また、フランクフルトのジブリル・ソウ、フラムに移籍したジョアン・パリーニャの近い将来のブレイクにも太鼓判を押していた。新シーズン開幕まで残り1ヶ月に迫っているが、ブレイク候補の活躍に注目だ。

※当記事のインタビューは、2022年6月4日に実施されたものです。

当記事のインタビュイー

小倉勉のプロフィール

U-17日本代表 ヘッドコーチ… AFC U-17選手権優勝

日本代表 コーチ… 南アフリカW杯ベスト16

U-23日本代表 ヘッドコーチ…ロンドン五輪ベスト4

大宮アルディージャ 監督…J1残留

ヴァンフォーレ甲府 ヘッドコーチ…J2優勝

横浜F・マリノス SD…2017年〜2022年

東京ヴェルディ ヘッドコーチ…2022年〜現在

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ジョータツ

「Off The Ball」編集長。 大手サッカー専門メディアに過去6年配属。 在籍時は、高校サッカー・J1リーグを主に担当。 「DAZN」企画でドイツ・スペインへの長期出張で現地取材を経験。 人生の転機は、フェルナンド・トーレスの引退会見で直接交わした質疑応答。 趣味はサウナ。