Categories: ラ・リーガ

【動画付き】MFジェレミ・ピノ プレースタイルと人物像【ビジャレアル/スペイン】

10代ながらリーガ屈指のアタッカーとして飛躍を遂げ、“メッシ超え” の最年少記録も保持するスペイン代表MFジェレミ・ピノ。過去にはビジャレアルで1つ年上の久保建英からポジションを奪った新進気鋭のウイングは、カタールW杯では「ラ・ロハ」(スペイン代表の愛称)の一員として日本の前に立ち塞がる可能性の高い超新星だ。今回は、次世代のスーパースター候補であるピノについて紹介していく。

ジェレミ・ピノの基本プロフィール

生年月日2002年10月20日
国籍スペイン
所属クラブビジャレアルCF
ポジションMF、FW
身長172cm
利き足右足
経歴ビジャレアルCF

ジェレミ・ピノのプレースタイル

(ピノのプレーエリア)【引用:Sofascore

ピノは主にウイング、特に右サイドで起用される。

同世代、同じスペイン人のバルセロナMFアンス・ファティは自らの個人技で切り込んでいくスタイルを持っているが、彼のプレースタイルは真逆と表現していいかもしれない。前線でボールを持つとドリブルの姿勢を見せて相手を引き付けながら、オーバーラップしてくるWBを待ち、ボールを預ける。その間にゴール前へ走り込み、ラストパスを引き出す。ピノは注目の若手選手に多い「高い技術で魅せていく」スタイルではなく、スペースを突いて「周りに使ってもらう」スタイルと言える。

またピノは球際への執念が強い。序盤から猛烈なプレスを躊躇なく行い、それが裏目に出てファールになってしまう時もあるほどの勢いでボールに絡もうとする。この姿勢は2020-21シーズン、同ポジション&同世代で繊細なプレーを好む久保建英とよく比較されていた。さらに彼は若手選手にも年々求められるようになった「フィジカルの強さ」と「守備能力」を、強い体幹と前述のがむしゃらさによってハイレベルな要求でも応えることができる。

彼のゴールシーンはいわゆる「ごっつぁん」なものもあるが、決して運が良いだけではない。チームメイトや相手の状況を細かく観察し、サッカーにおいて最も重要な「得点」を獲るための最適なプレー選択の結果、彼がいる場所へ必然的にボールが転がってきているのだ。

ジェレミ・ピノのスーパープレー

2021-22シーズン第26節、ビジャレアルvsエスパニョールのハイライトを紹介する。

ピノはこの試合、一人で4ゴールという試合のハイライトのほとんどに彼の名前が載る活躍を見せた。個人技ではなくポジショニングや駆け引きで有利な展開を作り出し、確実に得点できる状況を作り出す能力がこれでもかというほどに発揮された試合だった。ちなみに前半だけで決めた3得点は頭、右足、そして左足と3箇所1点ずつ決めており、難易度が通常よりも高い「パーフェクト・ハットトリック」を19歳にして達成した。前半でのハットトリックはサッカー界のレジェンド、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの最年少記録を打ち破る快挙となった。

ジェレミ・ピノのキャリア

スペインのカナリア諸島で生まれたピノは、地元でのユース大会の活躍が国内スカウトの目にとまる。14歳の彼をバルセロナとビジャレアルが取り合う格好になり、交渉の結果ビジャレアルへの移籍が決定。それから3年後の2020-21シーズン、Cチームで活躍していたピノをウナイ・エメリ監督が見い出し、飛び級でトップチームに登録される。10月22日にELでデビューすると、ラ・リーガ初出場を挟んだ同月29日のELではゴールを決めた。11月に2024年までの契約を結んだ彼は、レンタルで加入していた久保建英のスタメンの座を脅かし、遂には奪い取ってみせた。この年ビジャレアルが辿り着いたマンチェスター・ユナイテッドとのEL決勝にも先発し、ピノが獲得した初タイトルにはヨーロッパリーグの名が刻まれることとなった。

スペイン代表では年代別代表でキャプテンも務めた。2021年6月にはフル代表でベンチ入りを果たし、同年10月のネーションズリーグ準決勝で、フェラン・トーレスの負傷による交代で代表デビュー。決勝でも交代出場をした。2022年3月の親善試合では初得点をマーク。W杯で日本と対戦するスペイン代表での地位を徐々に確立している。

ジェレミ・ピノのエピソード

故郷のカナリア諸島選抜チームとして大会で活躍したことで注目が集まり、ピノは移籍オファーを受けたが、ビジャレアルはバルセロナより先んじて彼と彼の家族に接触していた。バルセロナも加入してもらおうと熱心に勧誘していたが、ビジャレアルの将来を見据えた成長プランに家族含めて惹かれ、ビジャレアルのスポーツ都市の雰囲気も決め手となり、名門バルセロナのオファーを断ってビジャレアルへの移籍を決めた。

ゴールパフォーマンスでは、世界的人気を誇る日本漫画「ドラゴンボール」に登場する合体技「フュージョン」のジェスチャーを披露しており、メッシ同様、熱心なドラゴンボールファンである可能性もありそうだ。

ジェレミ・ピノのまとめ

常春の島、カナリア諸島育ちのジェレミ・ピノ。日本代表と対戦するスペイン代表といえばペドリ等に注目が集まりがちだが、徹底して確実に得点を奪うためのプレーをするピノも引けを取らない才能の持ち主で、W杯メンバーに選ばれた際は、日本の脅威として立ちはだかることになるだろう。近い将来にビッグクラブへと移籍する可能性も充分にあり、スペイン代表の若き天才が見せるプレーはこれからも見逃せない。

M.Yuri

地元のクラブ、反町監督率いる松本山雅からサッカーの魅力へ強く惹かれる。その後国内外のリーグを観戦するように。 好きな選手は最後まで泥臭く走り戦う選手。海外サッカーを見るようになったきっかけは岡崎慎司。 趣味はスポーツ観戦と音楽。